先進国ではエコ製品として、途上国では生理用品の金銭的な負担を減らすために注目されている月経カップ。
私の住むニュージーランドでも、スーパーで普通に売っているほど広く浸透しています。
タンポンのように血を体内に閉じ込めるので不快感が軽減されて、衛生的なおかつ経済的。
そんな月経カップですが、まだまだ日本では未知のシロモノ。
インターネットのみでしか見られない&カップが数千円と初期費用が高額なのでなかなか手が出せないですよね。
そこで、7ヶ月ほど実際に使ってみて、日本人にこのカップは合うのか、使い方や使い心地などをレビューしちゃいます。
先に結論を言うと、日常生活にはもちろん、旅のときにはとんでもなく役立ちます。
その詳細もあわせてご紹介します。
月経カップとは?
シリコン製の月経カップ
月経カップ(げっけいカップ)とは、ナプキン、タンポンに替わる生理用品である。生理カップともいわれる。英語ではMenstrual cup(メンストラルカップ)と呼ばれる。主にアメリカ、イギリス、カナダなどの英語圏で製造・販売されている。鈴の形をしていて[1]、タンポンと同じように膣の中に入れて使用する[1]。天然ゴム(ラバー)[1]などの天然樹脂や、医療用シリコーンなどの合成樹脂素材で作られる[1]。そのほとんどが再利用可能で10年以上使用できる。ーWikipediaより
※メンストラルカップの他にも、ディバカップ(Diva cup)という愛称もあります。
シリコンでできたカップのことで、タンポンのように体の中に入れて装着します。
経血の量や体質にもよって異なりますが、一度入れれば最大12時間まで放置可能。寝ている時もバッチリです。
見た目はこんな感じです。スモールサイズはワインコルクよりひと回り、レギュラーサイズはふた回りほどおおきい感じです。
カップをきゅっと細く折りたたみ、タンポンのように挿入し、中でカップを開くと、シリコンのカップがコルクのような強力な栓になり漏れずに血液をためてくれると言うメカニズムです。
1日に数回、カップを抜いて中の血液をトイレに流して、きれいに拭いた後再度装着または洗浄→交換という流れになります。
(詳しい使い方や、”こんなもん入るのか!?”という疑問は後ほど説明します。)
最初に紹介した通り、カップは繰り返し使えるので一度購入すれば何度でも再利用可能です。
カップの初期費用は3000〜5000円と高額ですが、長く使えるので結果経済的ですよ。ということですね。
また、旅先などトイレのタイミングが不確か&ゴミ箱がないトイレの多い国などの旅行では
一回で長時間キープしてくれる&不快感が少なく、ゴミの収納や予備の生理用品の持ち歩きの心配がないのでこの上なく助かります。
月経カップのメリット、デメリット
そんな月経カップのメリットとデメリットを紹介します。
メリット
・血の不快感がない
血液を中に閉じ込めるので、べたーっとした感覚や蒸れ、漏れる心配がなくなります。
なかなか生理用品が交換できない時のあのなんともいえない不潔感ともさよならです。
・手ぶらでトイレに行ける、交換用の生理用品を忘れる心配がない
すでに体内に入っているので、交換用の生理用品をきらした、忘れたなどの心配がありません。
中には生理用品を持ってトイレに行くのが恥ずかしい状況や性格の方がいらっしゃるかもしれませんが、そんな時にもばっちり。
カップは昼夜とわず使えるので旅の時の荷物の量も減ります。
・ニオイがだいぶ少ない
中に全部閉じこまっているので、圧倒的にニオイが少ないです。
終わりかけのときのずっとちょこちょこ出続ける不快な経血も見ずにすみます。
・有害物質が少ない
ナプキンやタンポンの抜群すぎる吸水性や化学物質で体を傷つけてしまう体質の方にぴったりです。
デメリット
・慣れないとキツイ
最初のうちはサイズやカップがうまく入らない、開かない、抜きかたがわからないなど違和感や不快感を感じることが多いです。
うまく装着できるようになれば解消しますが、自分にあった装着方法を見つけるまでは”これ本当にみんな使ってるの?”と思うようなゆるやかな不快感が数時間起こります。
2〜3回目の生理くらいから違和感が徐々に減り、そのうち消えます。
・慣れないと漏れる
うまく開かない、装着方法が間違っているなど、慣れるまでは漏れます。最初はナプキンとの併用をお勧めします。
慣れてもたまに数滴漏れることもあるので、おりものシートとの併用がおすすめです。
・水とトイレットペーパーがどちらもないトイレでは交換不可能
個室トイレなど水がないところではペーパーで拭くなどができますが、どちらもないところでは手とカップがどちらも汚れるのでなかなか困ります。
(ただ、そのような場所では使用済みの生理用品をどうにかする場所もないはずなのでこれはどっこいですね)
・便座を汚さないように注意
カップに溜まった血を捨てる時、便座やトイレの淵(和式だと床)にこぼしちゃうことがあります。
トイレの使用後にちゃんと確認&掃除しましょう。
使い方やメンテナンスの方法
使い方やメンテナンスの方法はインターネットやYoutubeでもいろいろな方法がありますが、個人的に半年かけて納得した方法でご紹介します。
・使用前
その月の最初の使用の前だけ熱湯消毒します。お湯を沸かし、カップを容器に入れてお湯をかけます。
個人的には綿棒の入れ物がサイズもちょうどよく、下に穴が空いているので熱湯が出てゆくのでおすすめです。
カップの中のお湯を捨てて、水洗いか冷めるまで待ってから使用します。
(1度、手で触るとぬるい温度だったので使用したら冗談みたいに熱かったので、ほんとにちゃんと冷ましてください)
・装着方法
2回折って使用します。折り方にも方法がいくつかありますがこちらの2種類が折りやすい&装着しやすいです。
<1>
<2>
上のやり方が装着のしやすさではおすすめです。
下の方法は小さいサイズだと装着後開きやすいのでおすすめです。
トイレに座り、タンポンを入れるような姿勢で折ったカップをはじっこからゆっくり装着します。
カップが入るまでは指はカップを折ったままにしないと開いてしまうので最初は途中で開いてしまうこともあります。
途中で開いてしまったら、一度ペーパーで汚れを拭き取り、再度最初からやり直します。
カップが7割くらいまで入ったら、指を離してステム(下の棒の部分)をゆっくりと押し込みます。
ちゃんと開いたか確認するには、ステムを回してスムーズに不快感なく回るか、またはカップの底部を指でなぞってヘコみがないかなどで確認ができます。
(ちゃんと開いていないと、一回転する前に不快感があったり、カップが一部ヘコんでたりします。)
しっかりはまっていれば、違和感はほぼありません。痛みや異物感がある場合はカップの開き方がおかしいか浅すぎるので、ステムをゆっくりと押してみたり、再度装着をします。
血を絞り出すような感覚のまま装着し、カップが入った時に元に戻すと勝手に吸い込まれていきます。
交換までは体質や日数で異なりますが、多い時は4−6時間、少ない時は8時間おきにチェックします。
量が少ない時でも衛生的観念から必ず12時間に1回は取り出しましょう。
寝ているときは完全放置でOKです。
使用中、特に寝ているときは若干漏れることがあります。おりものシートの使用をおすすめします。
とはいえ、装着に失敗していない場合、ほぼ漏れないのでシートの交換もほぼ必要ないくらいです。
・取り出すとき
ステムの先端を指でつまみ、ゆっくりと引き抜きます。
密閉状態なので勢いよく引き出さないでください。吸引力を感じたらストップ(痛いよ!)
ゆっくりステムを引き、カップの底部が出てきたら、カップの端っこを押すと抜きやすくなります。
中にたまった血液を捨て、清潔な水で洗います。ハンドソープを使う場合はちゃんとすすぎましょう。
水道がない個室の場合は、カップの外側と内側を綺麗に拭き取ります。
(余談:取り出したカップは相当グロテスクですが慣れます。)
そして、再装着します。トイレットペーパーで拭き取るだけの場合は、洗える状況になったら必ず洗いましょう。
2つ持っていると、ひとつを洗ってひとつを装着できるのでおススメです。
使用後のカップは、石鹸で入念に洗った後に熱湯消毒します。水気を完全に切って冷ましてから次に使います。
・メンテナンス
生理後、もう一度だけ食器洗剤でよく洗って熱湯消毒&乾燥してから付属の袋に入れて次回まで保管します。これ以上のメンテはとくに必要ないです。
サイズの選び方
海外で作られているものなので、多い日はラージがいいと書いてあるものもありますが、
平均的な日本人の体のサイズ(160cm前後)だったらレギュラーで十分かと思います。
多いときはレギュラー、それ以外はスモールで困ることはありません。
(多い日にレギュラーを10時間くらい放置したときだけ一度溢れました。)
最初はスモール、慣れたらレギュラーとスモールの併用がおすすめです。
スモールとレギュラーを一個ずつ持っていますが、不便に感じることはほぼありません。
実際に使ってみて
もうこれに関しては”慣れろ。話はそれからだ”です。
慣れるまでは装着に手こずり、カップが入る前に指を離して途中で開き…
”こんなん入るか!”ってくらい苦戦し、手はとんでもなく汚れるしで心が折れます。
(タンポンが入る人なら、ほぼ全員確実に入ります。慣れるまでの辛抱です)
引き抜きで手に血がかかる&こぼす&引き抜けたらとんでもなくグロテスクに変わり果てたカップのお掃除etc…
”冗談だろうこの製品”。って初日に思ったのを覚えています。
最初の1回は、1日使って、1日休むくらいがちょうどいいです。
違和感も最初は数時間続きましたが、慣れれば連続使用もまったく問題ないです。
ただ、数日後&回数を重ねて慣れてくると、
夏場でも蒸れないし(そもそも血が外に出てこないし)匂いもほぼないので、
すっかり慣れた今はナプキンのべたっとする感じがもう不快で耐えられないしそもそもナプキン汚くね?ってくらい快適度が上がります。それくらい快適です。ただ引き抜いたカップの洗浄だけは未だに不快です。
なによりふとしたついでにトイレに行って、
”あー。生理用品忘れたー”という場合や、
いつ次トイレにいけるかわからない旅の途中なんかに大活躍します。
ゴミの心配のいらないタンポンのヒモなしバージョンって感じです。
旅先でのお風呂も心配なし。海外のシェアハウスの共同シャワーで血を落としちゃいないかなんて心配もなくなるので、日常生活はもちろん旅人には本当におすすめです。
半年以上使っていますが、まだカップに目立った汚れも変なにおいもついていないので衛生管理もラクかと思います。
まだまだ日本ではメジャーになっていないこのカップですが、一足お先に試してみてのオススメです。