パスポートすら持っていないまま大学生になり、19歳で初めて海外に旅行に行ってから早いもので10年が経ってしまいました。
19歳の春に英語ゼロで初海外、その後の夏休みで旅に目覚め、現在では40カ国近くを訪れ、海外移住までやっちゃいました。
買い物ができるのに十分な英語が身についたのは7カ国くらい旅した後の留学でした。
世界を旅してみたい。
あの写真の場所に行ってみたい
今まであったことない人に会ってみたい
…けど、踏み出せない。
たくさん旅してるけど怖くないの?時間は?お金は?言語は?そもそもどうやって旅しているの?
そんな疑問に全てお答えするべく、旅の話を独断と偏見のみで満足いくまでお話しします。
今日は第1章、バックパッカー旅とは?旅の個人的な定義や、短い時間や日常から旅を始める方法、オススメのはじめの一歩向けの国をご紹介します。
※個人の意見だけでお話ししているので、こんな人もいるんだね程度の解釈でお願いします。
旅人・バックパッカーとは?:ルールよりも冒険
旅人・バックパッカーというと、どんなイメージですか?
名前のとおり、バックパックを背負って、野宿したりヒッチハイクしたり?
いつも安宿ばっか泊まってたり、なんかちょっと怖い人たち?語学力はないと無理かな?
…そんなイメージをもたれがちですが、個人的に旅人・バックパッカーの定義は3つだと思っています。
- 自分の意思で日常と違う場所に行くこと
- 自分の意思で日常と違う経験をすること
- 自分の意思で日常と違う人に会うこと
…正直、これだけだと思っています。
スーツケースはバックパッカーじゃないとか
1週間だからバックパッカーじゃないとか
ホテルの個室に泊まるのはバックパッカーじゃないとか
そんなことないと思います。
”旅行会社が用意してくれた経験”や”添乗員やツアーにたまたま同行した人”と過ごすパッケージツアー少し違うかもしれませんが、基本的に細かい定義はないと思っています。
自分の意思で行くと決めた場所に、自分で計画を立てて、自分から地元の人や旅行者にあいさつ以上の話をしてみる。
それだけで旅人・バックパッカーは始まると思っています。
たまに、”そんなのは旅じゃなくて旅行”とか、
”バックパッカーたるものこうであるべき!”みたいな人がいますが、
仕事論、子育て論、宗教論など同じくくりのなかでもたくさんの違う意見と独自の倫理があるたくさんの物事と同様、旅人論も正直不毛です。
いろんな意見はありますが、自分の納得いく冒険ができればそれでいいと思います。
”日曜日にはじめて行った隣町の商店街で陽気なおばちゃん達に会ってなんか数時間話し込んじゃって楽しかった。”みたいなのも立派な旅だと思っています。
まずは自分の興味のある場所や経験に、えいっと飛行機やバスの予約を入れてみる。
旅はそれくらい簡単で身近なものです。
そして、バックパッカーって、それを気軽にできるこころの持ち主全員を指すんだと思います。
怖くないの?その勇気はどこから来るの?
10年間にわたり、40カ国近くを旅してきました。
シリアにもイランにもカザフスタンにもフィリピンにも行きました。
そんなことを言うと、怖くないの?とよく聞かれます。
治安は大丈夫?、言葉大丈夫かな?、現地でずっとひとりは辛いな、予算足りるかな、体調平気かなetc…
正直にお答えすると、行きの飛行機の中は今でも無茶苦茶怖いです。
そして、恐怖は1〜2日で消え、旅が終わる頃には恐怖を感じていた自分を恥ずかしくなるくらい抱えきれないたくさんの思い出とともに帰ってきます。
2019年12月のキューバに行った時も、”あぁ、なんで高いお金と長い時間使ってわざわざこんなことやってんだろう。もうやだ日本帰省にすればよかった”とハバナの空港で本気で思っていました。バックパッカー歴10年とか豪語しといてこのありさまです。
慣れても旅は怖いんです。旅にでる勇気がないというのは普通のことなのです。
…ただ、ここからが旅の魔法。
街に降り立ち、ちゃんとご飯を食べて一晩よく寝る。
そうするとだいたい1~2日でそんなこと思っていたのを忘れるくらい目に飛び込む様々なものにワクワクしてきます。
そして、帰る頃には”帰りたくない…”となり、帰ってからしばらくの間は余韻に浸りながら次の旅の航空券を探し出すのが旅人なのです。
(初日にビビったキューバも、最終日には何年も夢見たこの旅が終わってしまうと昼間のハバナの市街地で泣きながら歩いたのは秘密です)
この恐怖を乗り越えた後に待っている異国の景色、人、思い出、そして何年間も続く友情は一生の財産です。
そもそもどこの旅先に行こうとも、そこに住む人がいて、そこで日常を家族と過ごしている人が生活しているんです。
どこの旅先に行こうとも、誰かにとってはなんでもない毎日を過ごす場所なんです。そこまで人を怖がらせるような要素が街中に溢れかえっている場所なんてそうありません。
…とはいえ、慣れても怖いので、最初の1回は本気で怖いと思います。
まずは治安が良く安全な国や地域を選び、実際に降り立ってしまえば楽しいし、この恐怖はまやかし。を体験することが一番の特効薬です。
それを何回か繰り返しているうちに、怖いけどなぜか大丈夫だと分かっている”あの感覚”となり、克服法を覚えたことで気にならなくなったというのが現状です。
私は旅の2カ国目、インドネシアに1人で向かった時は恐怖でテンパり、
当時日本就航していなかったAirAsiaに奇跡的にいた日本人クルーにどうやって宿まで行けばいいかパニック状態で話を聞いてもらったことがあります(当時は申し訳ありませんでした。今ではすっかり慣れました。)
最初なんてそんなものです。
そして、そこまで勇気をだして飛び込むほど価値があるの?という疑問には
確実にあるからとにかくやってみて!マジでわかるから!とだけお答えします。
言語や文化への壁や、他の旅人や旅先で会う人とうまくやっていけるかという不安には、
>第5章 未知の世界へ:言語、文化、振る舞いについてにて、詳しくお話しします
短い時間でも旅する方法とは?
旅の定義でもお話しした通り、海外を長期間渡り歩くだけが旅ではないと思っています。
新しい人と話をしたり、自分でアレンジした新しい経験があればそれはすべて旅だと思っています。
そうなると、その定義でいう旅を3~4連休、なんなら土日でできる方法はないの?にお答えします。
時間や予算がまとまって取れない人や、やっぱりいきなり長旅は怖いという人にオススメです。
これらは、長期旅や世界一周を行なう旅人が地元の体験をよりカラフルにするための常套手段をあえて短期間の間に混ぜてみよう。ということです。
全部をカバーする必要はありませんが、多ければ多いほど旅の経験は濃くなります。
海外はもちろん、日本国内でもばっちり使える手段を集めてみました。
1)時間と予算が許す、興味のある一番遠い所に行ってみる
2)共同キッチンのある宿やドミなど、誰かと共有する空間がある宿を取る
※そして共同スペースの人と挨拶以上の話をする。今来たばかりなんですけど、この近くでどこかよかったところはありますか?は最強の話題。
3)Facebookやカウチサーフィンの旅仲間募集掲示板などを利用し誰かと旅する状況を作る
4)買い物や食事、タクシーなどを使うときは、挨拶以上の一言を店員さんや運転手と話す。天気でも地元のオススメでもなんでもOK
5)行く街は決めるけど、行く観光スポットやレストランは”ここ目当てでこの街に行くんだ!”という場所以外決めない
※現地に着いてから、宿のスタッフや他の旅人、レストランやお土産やさんの人、なんなら街ゆく人にオススメを聞いてそれだけで決めてみる
6)ヒッチハイクしてみる(治安の確認必須!!)or ヒッチハイクを拾ってみる
7)観光客いるの?というくらいのど田舎に行き、カメラをぶら下げて歩く
※地元の人が何やってるの?と話しかけて来るくらいの田舎だと◎。海外の場合は治安を充分に確認してください。
8)AirBnBの”体験”にある居酒屋orバーホッピングツアーを申し込んでみる
9)カウチサーフィンで人の家に泊まってみる
※レビューがついている、安全なホストを選びましょう。
10)世界中の観光地によくある”旅人が集まる酒場スポット”に行ってみる
※宿のスタッフや1週間以上滞在している旅人に、この辺で旅人たちが集まってるバーとかある?と聞くと意外とある。日本にもある。
11)世界中の観光地によくある”旅人によるヨガ教室”に行ってみる。
※10番と全く同じ理論のヨガ版です。バックパッカーに人気の宿の場合は宿そのものが主催していることも。
12)宿がアレンジする半日ツアーや、現地の旅行会社が開催している郊外1日ツアーなどに参加してみる
※現地の地元ツアーであることが大事。自宅から決めない。現地のツアーはいろんな国や地域からの参加者がいるので、道中で旅トークができる。
13)セルフィーを頑張る観光客に”写真撮りましょうか?”と話しかけて、ついでにこの旅で他にどこに行ったのかを聞いてみる
14)音楽が聞こえたら、とりあえず一緒に踊ってみてそっから何やってんの?なんで踊ってんの?と話しかけてみる
※南アジア、フィリピン、ラテン諸国で使えます。日本国内ではおすすめしません。
15)写真や手芸品を路上で売ってみる、ストリートミュージックや大道芸を路上でやってみる(それらがOKな場所に限ります)
16)ひとりで行く。友達は現地調達のみ。
最低でも計3~5個を1回の旅で取り入れてみてください。非日常感が強まるのは(2)、(3)、(5)、(6)、(8)、(9)~(12)です。
これで今までの旅行とは全然違った新しい体験が待っているはずです。バックパッカーはこんなことやって旅しています。
初めての海外旅にオススメの国を紹介するよ
国内旅行も立派な旅ですが、私の旅経歴からやはり海外放浪旅のお話が多くなるので
せっかくなので初心者にオススメの国や地域を選んでみました。
治安、旅のしやすさ、物価、人のフレンドリーさ、英語の通じやすさ、異国情緒感を全体的に考慮しています。
初心者向けなので治安と旅のしやすさは最優先事項として選んでいます。
リストアップはランキングではありません。目的やスタイルがみんな違うなか順番はつけられないので、自分のスタイルにあった国を選んでみてください。
ちなみにアジア中東を中心に旅して来た&行ったことない国を紹介したくないのでちょっとエリアに偏りがあります。
せっかくだから近隣の国にも行きたいけどどうすればいいの?という疑問には
>第3章 旅ってどうやるの?:長旅のやり方についてでお答えします。(近日公開)
・タイ
バックパッカーの最初の1歩として定番なのには理由がある。
主要都市はどこも旅人でいっぱいで旅仲間ができやすく、宿が見つからないハプニングもまず起こりません。
また、食事も美味しくて安くて、大都市から田舎まで様々な観光地が楽しめます。
※タイというと怪しいお姉さんが多いと思う人もいますが、自らそういったエリアに近づかない限りは大丈夫です。
・台湾
日本とも仲良しな近場、台湾も安全でとても旅しやすいです。
日本語が通じる場所も多く、主要な観光地だけなら日本語とほんのちょっとの英語でいけます。
文化も場所も近いけど、大きく広がる夜市はまさに異国体験。似すぎず違いすぎずのバランスが初心者にはぴったりです。
・マレーシア
どこの街にも、マレー系・中華系・インド系とごちゃ混ぜの文化があるみどころ満載の国。
都市部では英語も通じ、治安もよいのに物価が安く初心者にもとっても旅しやすいです
食事のバラエティがやたら多いので、食事が合わないという心配はまずありません。
・ジョージア
コーカサスにある小さな国。最近ではその住みやすさとビザなしで1年住めちゃうところからデジタルノマドにも人気の街。
治安も良く、ヨーロッパの街並みなのに東南アジア並みの物価というキレイと安いの美味しいところ取り。
英語が通じにくいのと、お店や交通機関が早く閉まってしまう以外はとても旅しやすいと思います。
・韓国
お隣韓国も、文化が近く治安が良いため旅しやすさは◎
東南アジアと違いぼったくりも少なく、初めての旅で何もかも大冒険は怖いなという人にオススメ。
若干国内旅行に近いけど、それでも海外。お土産にコスメのお買い物もいいですね。
・シンガポール
治安は抜群。数ドルのぼったくりにはいても犯罪に巻き込まれることはまずありません。
公用語が英語で、コンパクトなのに異文化がぎゅっとつまっていて、国全体が広大なテーマパークのよう。
物価は日本とほぼ同じと少し高めですが、ホーカーセンターのお手頃屋台飯は試す価値あり!
・スリランカ
ここは本当にインドの隣国なのか?と目を疑うほど平和。カオス感なし、ぼったくりもほぼなし。おとなしい田舎です。
紅茶の生産地としても非常に有名で、紅茶畑の町ヌル・オヤ(ヌワラ・エリア)の高原やシーギリヤ、キャンディの旅のしやすさは抜群。
英語もかなり広く浸透していて、子供からおばあちゃんまで結構話しかけてくれます。
・トルコ
アジアよりは少し異国感が強まりますが、それでも治安と旅のしやすさは◎
中東のエキゾッチックさを持ちつつも、他の中東と違い旅行者が多く難易度がぐっと下がります。
親日国なので日本語が通じるところがちょこちょこありますが、街中で日本語で話しかけてくる人には注意してください。
・ニュージーランド
こちらも抜群の治安。大自然に囲まれた国。英語圏なので現地語に苦しむこともありません。
レンタカーを借りて大自然のロードトリップなど、街歩きよりもアウトドアがオススメ。
唯一の欠点が、物価が日本より高いこと。物価がネックですがとてもオススメです。
・インド(番外編。猛者求む)
もういきなりぐっちゃぐちゃのはっちゃめちゃに旅にどっぷり浸かりたい猛者には迷わずインド1択でオススメします。
殺人や誘拐という意味での治安は悪くないですが、ぼったくりの多さや街のカオスさ、無法地帯な意味では全然平和じゃないです。
最初だからこそ絵に描いたようなバックパッカー体験をしたい。お腹壊してもタクシー代で喧嘩してもいいからカオスな放浪を全身で体験したい!という人向けの劇薬です。インド旅ができれば世の中のだいたいの国は旅できるようになります。
旅のしやすさは度外視してのノミネートです。世界中のバックパッカーの登竜門インドのその魅力と絶望は、行かなきゃわかりません。
短くても長くても国内でも海外でも、旅は旅。
とにかく楽しんで、とにかく新しいこと、知らないことを恐れない。
最初の1歩は怖いけど、その勇気の報酬はかけがえのないものになるはずです。
そして、次章ではどうしてここまで旅人が旅を推し続けるのかをご紹介します。
>バックパッカー旅のすすめ#2:旅の魅力、メリット・デメリットとは?