ニュージーランドに来ると普通にオフィスで日常を過ごしていても聞くのが、
「キャンパーバン」。
ロードトリップやキャンプ旅をすることの多いニュージーランドでは非常に一般的で、結構持っている人も多いんです。
市販のキャンピングカーはとても高額なので、ニュージーランドでは
大きめの乗用車やハイエースなどのバンに自分たちで内装を作るのが一般的です。
このような改造された車全般を、キャンパーバンと呼びます。
また、誰かが改造してすでにキャンパーバンとなっている中古車がそのまま売られることも一般的です。
夏になると、いろんなキャンプ場に行く機会も多くなります。
数日続くフェスやイベントではテントの設置スペースにキャンパーバン専用駐車場などもあったり、
バックパッカーズのホステルではバンの駐車場(ベッドは自分のバンで、キッチンとシャワー、共同スペースだけ使っていい)プランなどもドミより安く利用することができます。
ニュージーランドでは、”持ってて損はない”キャンパーバン。
…とはいえ、バンは高額です。
そこで4人乗りの軽自動車サイズの小型車、Mazdaのデミオでキャンパーを作ってみました。
すごく小型の乗用車でも横になって体を伸ばして寝れる小部屋があるのはとても便利で魅力的です。宿代もかなり浮きます。
そんな便利な小型キャンパーの設計図と方法をご紹介します。
今回全面協力いただいた友人&友人パートナーに改めてお礼申し上げます。
(注意:私の車はトランクと座席が一体になっているハッチバックというタイプの車です。座席を折りたたむとけっこうスペースがあるタイプです。)
車の寸法を測り、図面を書く
まずは、キャンパーに改装するためにどのようにしたいかを大まかに想像します。
私の場合、車が小さいこと、仕事やお出かけの普段使いがほとんどのため、
「普通に使えて旅の時だけキャンパーに早変わりする」が理想でした。
<ゆるぼ>
オークランドで、ノコギリと電動ドライバー🔩お貸し頂ける方はいらっしゃいますか?
木の板と角材のオススメのお店などもあったら教えて欲しいです🙇🏻♀️年末の3泊4日イベントに向けて車を改造します\( ‘ω’)/
DYIはおろか釘すら打ったことないですが…🥳
※予定は未定、画像はイメージです。 pic.twitter.com/Ho2pNo2SNo— ジプシーワーカーズ#旅人OL🇲🇾🇳🇿 (@gypsyworkers) November 18, 2020
そこで、小さい車でキャンパーを作った人の画像や動画をGoogleで検索し、以下のアイディアにまとまりました。
・普段はトランクにしまえるように、3つ折りのベッド土台を作る
・使う時だけ3つ折りを広げて、テーブルの足のようなものを後部座席のシート前のスペースに後付けで設置する
・後部座席を取り外さなくていいように、座席を折りたたんだ高さに板を固定する
これらの条件を満たすために、まずは車の寸法を測ります。
・車の運転席/助手席からトランクのドアまでの長さ
・車の内装の横幅(板が引っかからないよう、一番狭い場場所を基準にします)
・シートを倒した時の、トランク底から倒したシートの一番高いところまでの寸法
・後部座席の足を置く場所から、倒したシートの一番高いところまでの寸法
これらを測ると、トランク底からシートまでの高さが20cmほどあったので
20cmを底上げするための収納ボックスをまず作り、そこから板を敷くデザインに決定しました。
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車の寸法が解ったら、次に板厚を無視してサイズを落とし込みます。
今回キャンパーを作るにあたり、元船大工の経験がある友人パートナーから”最低限必要な板厚”を教えてもらいます。
「すごくいい図面だよ。ちょっとだけ寸法の計算をさせてね!」とにっこり笑ってデザインはそのままほぼ全ての寸法を直してもらったのは内緒です。
そして、全体の寸法から、板厚をマイナスしてゆきます。こうすることで必要な材料の寸法が計算できます。
揃える木材の寸法が全部解ったら、買い出しのための寸法をリストアップし、いざ角材店に向かいます。
材料の買い出し
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私はニュージーランドでキャンパーを作成したので
利用したお店は「Bunning warehouse」と「Miter 10」です。
これらはニュージーランドの超大型DIYチェーン店で、材料はどちらのお店でも1回で全部揃えられました。
(2つどっちも行ったのは、予習段階で板だけ先に片方で購入したからです。どっちでも構いません。)
大型DIY店のメリットは、角材を指定の寸法に切ってもらえるところ。
板はすべてお店で切ってもらいました。大きな機材でザックリ切るので、寸法が1~2センチずれることがあります。
お店の人には「ちょっと小さくなる分にはOKだけど、寸法より大きいのは困る」と伝えましょう。大きいと入らなくなります。
今回準備した材料はこちらです
-MDFパネル:12mm x 2440 x 1220 (900×510のサイズに4枚カット)
※強度の都合上、本当はMDFパネルよりもPLYWOODパネルがいいみたいです。
-角材:幅45mm 高さ180mm 長さ2000mm (長さだけ900mm x1 470mm x3にカット)
-ヒンジ:85mm x6(4つ取り付け用、2つはバラしてブラケットとして使用)
-ボルト(3/16” x18mm)
-ドームナット(3/16”)
-ねじ(50本入り、60mm程度)
-ねじ(10本、100mm以上の長いねじ)
合計材料費はニュージーランドドルで85ドル(6,800円)ほどでした。
テントが不要なことを考えればかなりお手頃かと思います。
使用した工具は以下です(すべてお借りしました)
-角材カット用電動ノコギリ(お店で有料カット)
-電動ドライバー
-ドリル(電動ドライバーがドリル機能のない場合)
-ミノ
-ヒンジが切れる鉄用ノコギリ
-ヤスリ
…では、作成にとりかかります。
DIYに挑戦!
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まずは、土台となる収納箱を作ります。
最初は角材を繋げてゆくところからです。
最初に収納箱の骨組みから繋げてゆきます。
この土台の板厚は450mmあるので、長いネジでがっつりと3本の板を5箇所ずつとめてゆきます。
ネジを止める前は、まずは電動ドライバーのドリル機能で少しだけ穴を掘り、その穴にねじを通して固定します。
真ん中に仕切りのような板を置かなければいけないのは、
寝っ転がった時に真ん中がスカスカだと重みで板が割れちゃうから必須とのことです。
次に、MDFパネルを取り付けます。
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上下一枚ずつ取り付けますが、上に来るものの寸法はカット後に一番ぴったりと全体をカバーする板を選ぶのがコツだそうです。
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ネジを同じ要領で固定します。すべての土台の角材の上にねじ止めします。
ちなみに骨組みのねじとのぶつかりを避けるため骨組みでねじを取り付けた部分の板の場所だけ少しずらしてねじ止めします。
次にヒンジを取り付けます。
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ヒンジの寸法をペンで板に書き込み、その大きさだけヒンジの厚み分ミノで掘ります。
こうすることで折りたたんだ時にヒンジがぶつかって板が浮いてしまうのを防ぎます。
今回は強度を増強するために、ヒンジをボルトで取り付ける反対側に、ヒンジの接合部を切り取ったものをブラケット代わりに使用します。
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そしてドリルで穴をあけ、収納箱側のヒンジは接合部が上に来るように、次の板は接合部が下に来るように取り付けると3つ折りができます。
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収納箱側はボルトの頭が上に来るので問題ありませんが、次の板のボルトが貫通して上に来てしまうので、マットレスを引っかけないようにドームナットを使用します。
丸い小さな突起なので、マットレスを引いてしまえば違和感は全くありません。
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メイン部分はこれで完成!!
もちろん超ベテランのアドバイスがあってこそですが、4時間ほどで完成しました!
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そして、板を伸ばした時に落ちてしまうのを防ぐため、足を作ります。
余った板でI字型にすることで、重さが分散されて◎だそうです。
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最後に、収納箱の後ろ側に余った角材をちょこんと留めます。
こうすることで、板を広げた時にこのちょこんと留めた角材が重さを分散してくれる機能があるらしいです。
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土台は以上です!
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完成!
実際に使ってみて
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図面でお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、板の全長が153cm、私の車の全長は160cmです。
身長157cmの私には、普通に足も伸ばせて、幅も結構広くて、ガタガタ音もなったりしないし超快適です。
遮光カーテンの素材の布を安全ピンで窓の内側から止めれば、朝の8〜9時くらいに自然に目さめるくらいの光しか入ってきません。
今のところ、これで数回に分けて合計6泊くらいしていますが、
毎日ちゃんとぐっすり眠れてで不快感や痛みも全くありません。
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マットレスは巻いて収納できる1cmほどのスポンジのようなクッションを使用し、その上にブランケットを敷いています。以外とこれだけでも痛くないですよ。
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夏なので蚊帳をドアに挟んで少し窓を開けて使用しています。蒸しあがらなくて快適です。
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板を伸ばしている状態だと、運転席のシートを倒さなきゃいけないので運転はできません。毎回戻すのが面倒なだけが唯一のデメリットですね。
荷物は運転席と助手席、収納ボックス、後部座席と板の間に置けるので、結構スペースもたっぷりあります。1週間くらいの荷物は問題なさそうです。
もちろん水はたくさん運べないので、1泊以上の場合水道やシャワーのあるキャンプサイトや宿のキャンパーパッケージが必要です。
使ってみて、今後足した方がいいなーと思っているものは以下です。
-キャンプ椅子
-カセットコンロとキャンプ鍋
-保冷力の高いクーラーボックス
-キャンプ用ランプ
-ルーフブラケット(サーフィン旅行の時、サーフボードを置く用の目的)
-(冬に使う場合は冬用の寝袋+毛布)
小さい車でキャンプサイトに乗り付けると、近くにいる知らない人が「これでどうやって寝るの!?」と話しかけてくれるので旅の醍醐味でもある旅人の会話もバッチリです。
フェスに行った時は、フェス内で一番小さいキャンパーだ!とフェスのカメラマンが写真を取りに来てくれたので話題的にも◎。
宿代の節約にもなるし、いいことづくめで本当に気に入っています。これからも冬以外はずっと使ってゆくつもりです。
おまけ:実際に使用した図面
今回のキャンパー作りで実際に使用した図面を清書しました。
同じようなものを作ってみたい方、ぜひ参考にしてみてください。
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