海外移住というと、「移住するまで」のプロセスの情報が多い印象です。
現地に移る方法や仕事を探す方法、ビザを取る方法など、移住するために必要なことがゴールとなりそこからの情報はあまり多く出回っていません。
22歳から始めた海外での現地採用&生活は9年目に突入し、
そろそろ人生の3分の1程度を海外で過ごすことになります。
永住権も無事に目処がつき落ち着いた今、「海外移住って何?」にお答えする
中期・長期海外生活についてのお話です。
※これらは、単身移住者の感じることや私個人が周りから受けた印象を元に書いているので、家族移住、現地のパートナーと住むために移住しているなど状況によって感じることは全く違うことをご了承ください。
だいたい3年目くらいから完全に慣れてくる
マレーシア、ニュージーランドと全く違う環境に2カ国住んで気づいたことは、
「完全に慣れる」状態に達するまでの時間は、どちらも2年ちょっと経ってからでした。
日本がとりわけ大好き(または日本人のパートナーがいる)という人以外で仲良くしてくれる現地の人がちらほら現れたのもどちらの国でもだいたい無理しないで3年目でした。
(家族や友人が既にいる現地の人は、家族が遠く離れた外国人同士よりも仲良くなれるのに時間がかかる印象です。)
マレーシアに留学していた頃、ニュージーランドにワーホリしていた頃、
どちらも「現地人はどこ?」という程に職場以外で知っている人は全員外国人という状態から
だんだんと職場で現地の感覚に慣れてゆき同時にプライベートでも現地の人たちと知り合い、無理に気負わずに淡々と交流できるようになるのがだいたいこのくらいの時間が経ってからなのかな。と思っています。
人間関係だけではなく、仕事や生活でも、3年目になるとあまり考えずに自分なりの工夫や過ごし方が身についてくるので、自分が外国人であることを理解しつつも、それが弊害になることがほとんどなくなるのがこのタイミングかなと思っています。
まだまだ毎日わからないことだらけ
先3年目くらいから完全に慣れだすと矛盾しているかもしれませんが、わからないことの連続は現在ニュージーランド5年目に突入した状態でもほぼ毎日起きています。
英語だったり、言い回しだったり、作法だったり…
その種類は様々ですが、「I’m leaning something new(新しいこと知れたよ)」という言葉は現地で何回使ったかもう覚えてません。
外国のことが完全にわかる日なんて来ないと思います。
ただ、慣れると、知らないことに対して無力感や焦りを感じにくくなり、純粋に新しい情報として処理できるので負担にはなりません。
一番最近知った言葉は「Hand me down」。おさがりのような意味で使われます。
「え、なにそれ?」と恥ずかしげもなく聞くと、「へぇ、今まで聞いたことなかった?」と向こうも説明してくれます。このようなことは日常レベルで頻繁に起きます。
中・長期滞在の情報があまり見つからない理由がわかる
現地に住んで3~4年も経つと、渡航前や渡航直後に不安で何時間もネットで調べていたような不安事項が、考えなくてもわかる日常と変わります。
こんなことが起きたらどうしようという不安も結局起こらないまま忘れたり、
現地でこんなこと達成したい!という最初の目標が「実は大したことじゃなかった」か「そもそも目標がトンチンカンor難関すぎて目指すとかの話じゃなかった」など、当初に描いていたものとはすっかり違う景色をの中を歩いてしまうものです。
渡航前の私が現在の私に電話できたとして、彼女はきっと「この人は本当に海外に住んでいるの?」と、思うでしょう。
それくらい、なんでも日常となり、常識となり、最初の不安や疑問は消えてしまうものです。
マレーシアもニュージーランドに移住を決めるか迷っていた当時は、
住んで5年とか10年経った人って現地でどう暮らしているの?転職方法は?などいろいろ疑問がありました。
転職もそこまで慣れた後の日常も、わざわざ書いたり発信することもないくらい”簡単なこと”になってしまいます。
海外の予定外にな慣れた今、「先々まで調べてもどうせ計画狂うしな。」という感覚になり、こんな情報を欲しがる人がいるということも忘れていました。
長期滞在の不安については、その頃には慣れて不安だったことも忘れるから渡航前から心配しなくていいよとアドバイスをしたいです。
慣れると、飛び出す前の日常に戻る
2カ国移住を経験して、だいたい最初の1年で大量に新しいことが舞い込み、行動範囲を変えてと、大きな変化に夢中と必死の同時進行となります。
それもひと段落すると、日常がやってきて今まで培った変わらない感覚と、経験から積み上げた新しい常識が共存します。
これをうまく使って自分も一緒に変化させないと「海外出たけどなにも変わらなかった」となってしまい、夢中で現地生活を安定させるために努力した日々が、燃え尽き症候群としてマイナスの方向になってしまう人もいます。
長期滞在の壁は、慣れ始めると
あれだけ頑張れて成長した自分はどこへ行ってしまったのだろう?と無力感を感じることかもしれません。
ただ、現地に放り込まれた最初の頃の自分は火事場の馬鹿力状態なので、当時の勢いや成長、勉強のモチベーションは”ずっとは無理”のレベルです。
それを受け入れた上で、日常の小さな改善や今の自分に必要なことを、当時のスピードや成果の再現に執着せずゆっくり進み続ける方法を考えることが大切なんだと思います。
帰国や次の国への移住を考える理由がわかる
2カ国移住しました。どちらも4~5年スパンとなった今、海外生活が長くなると結局帰国する理由がよくわかります。
(それを海外移住の”失敗例”として紹介されるのがとても違和感があり、嫌なんです…)
一通り現地生活に慣れて、当時は憧れや冒険だったものごとが日常になると、挑戦に満足します。
海外生活ってこんな感じ。としっかりと体も心も実感しています。
そのような日常を繰り返すうちに、生活基盤を日本に戻してみてもいいかな?と思ったり
日本のあの制度やこのシステム、今思えばもっとうまく使いこなせたな。
こんな生き方も出来るって知った今なら当時の問題も解決できたなぁ。
など、後出しのひらめきが増えてゆきます。
海外に住むことのハードルも下がっているので、
また住みたくなったら戻ればいいや。と帰国や他の国の移住がもう一世一代の大決断ではなくなります。
移住したての頃の刺激や成長と比べてなんか自分が鈍ってきている気がすると思い始めたり
海外に出て、自分のライフスタイルを考えるとこっち(帰国や別の国)の方が今は興味があるなと実感する場所や時期がふと訪れます。
一度移住を経験しているので、帰国にせよ他の国に移動にせよ、ハードルが低くなっているのでリフレッシュ感覚で帰国を選択する印象です。
帰国=失敗談と扱われることに反論したいのは一旦置いといて、こんな心理で中長期滞在者は帰るんだと思います。
拠点が複数あることで、もっと自由に挑戦できる
住む拠点が複数あることは、「メリットは全部、デメリットは1個(=家族や友人、場所の違いによる物理的な距離問題)」だと思っています。
複数拠点があるからと無理に全部にどのくらい居なければと言う制約もないので、使わなくても持ってて損はないカードだと思います。
違う国や文化、言語を知っていると、
現地で仕事ができる以外にも自分が問題にぶつかった時に違う解決方法が思いついたり
最悪帰ればいいやと思っていい意味で投げやりに対処できたりするので精神的にも助かっています。
新しいことを始めたいときも、複数に拠点があれば、「失敗」に厳しい日本をいったん離れて海外で身心ともにリフレッシュすればいいからとりあえずやってみようなど、失敗に対する心構えもだいぶラクなものになりました。
実際に海外に引っ越す、生活拠点を変えるって、ものすごく時間も体力もお金もかかる即効性のない選択肢ではありますが、その選択肢があるという安心感にはいつも助けられています。
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海外生活が長くなると、正直「海外生活をあまり何も感じなくなる」が率直な感想です。
どこの国にもメリット、デメリットはもれなくあります。
いつも通りの日常で、同じ自分、環境だけが違うけど、慣れてるしな…。という状態になるので、その環境アドバンテージを活かすも殺すも自分次第です。
自分を変えたいから海外に住みたいという人は、環境が変わる後押しで一気に起きた変化が落ち着くのも数年経ってからです。
逆に環境を変えたいから海外に住みたいという人は、この海外生活の環境が自分とどう噛み合うのかがはっきりするのかだいたいこのくらいの時期だと思っています。
長くなっても、たまに簡単な英語や現地語を忘れ日本語でしか頭が動かなくなったり、突然日本食しか食べたくなくなったりなどの「オリジン返り」現象がたまーに起きたりします。
だいたい1~3週間くらいで消えるのですが、単身移住で現地環境の中に生きていても、完全現地化というよりは外国人である自分の現地生活にシフトしてゆくことで無理なく生活を楽しめるようになったのもだいたい3年目くらいからでした。
私が海外のセレブレティをほぼ知らない事をびっくりされた時「東洋人だし、西洋のエンタメ知らないのよね。」と答えると、あぁ、確かにそうだね。と会話が収束しました。
飛び出す前の自分だったら、「今後のために調べておこう」とか、「現地のこと解ってないな。」と思ったかもしれませんが、今ではそこで知らないことを恥じることなく、知らないなぁ。と思って終わりです。
年を取ったと言われればそれまでですが、別に無理して知らなくていいことや馴染まなくていい場所はたくさんあると思っています。
そして、それでも大丈夫と心配しなくてよくなると、ちゃんと慣れたんだねぇ。と感慨深くなるものです。
国境が落ち着き始めた今、海外旅行感覚で2ヶ月ほど日本に帰国を考えています。
3年帰れていない今、逆カルチャーショックがどれほど起こるのか楽しみにしています。